11月20日15:30分、埼玉県庁に署名を届ける

相手は農林部長及び環境部長です。アポ時間は約15分。

埼玉県農林部長様並びに担当者様
埼玉県環境部長様並びに担当者様                2019年11月20日

高麗本郷メガソーラー問題を考える会
代表  上野文康

高麗本郷メガソーラー建設計画についての再度の要望書提出について

Ⅰ.はじめに―――民意はNOを訴えています

本日は両部長並びに担当の皆様に面会して、私たちの要望をお伝えする機会をいただきありがとうございます。今回は、当建設計画に反対する署名の提出と再度の要望書を提出にまいりました。

6月7日の要望書提出の時は、署名活動を始めて40日のころでしたが、今日ようやく集約した署名を提出することができます。当建設計画に反対する署名は約5000筆、Web署名を合わせて約6000筆に達しています。

この署名活動が行われている期間には、地元日高市では市議会において、高麗本郷の「大規模太陽光発電施設の建設に対する反対決議」が賛成多数で可決されました(6月26日)。これに続いて、日高市は「日高市太陽光発電設備の適正な設置等に関する条例」を制定し(8月22日)、当建設計画予定地は市長が計画に同意しない特別保護区域となるに至っています。さらには、今秋の埼玉県議会において、当計画の中止を求める請願が出され、全会一致で可決されています(10月7日)。

一方、東日本各地に甚大な災害をもたらした10月12日の台風19号による豪雨は、地元日高市においても、高麗川の洪水被害となって現れ、予定地の2km下流の巾着田をはじめ複数個所で堤防を越え浸水被害が出ています。私たちは、近年の気象環境の変化に伴い、従来の想定を超える被害が起こる危険性を、繰り返し言い続けてきましたが、このことが決して杞憂ではないことが証明されたことになります。

今日、提出する約6000人の署名は、災害の危険と環境悪化への懸念が明確に意思表示されたものですが、これは言わば大きな潮流の波頭にあたるものと言えます。各個人が培ってきた生命観と生活感に根ざした住民・市民の思いは、今回の開発に対してはきわめて否定的です。市民の代表機関である市議会でも、また県民の代表機関である県議会でも当計画反対の決議が圧倒的多数で可決されているのは、この住民・市民の思いを反映したものと言えます。民意はNOを訴えています。

この署名と議決に表された民意に基づく行政のあり方を探り、追及していただくことを強く望みます。民主主義は「国民の不断の努力によって」保持しなければならないと憲法に謳われていますが(12条)、これは公務員、市民双方に向けられていることばです。以下は私たち市民のサイドで、この問題に向き合う中で探ってきたことです。

Ⅱ.複合的視点による解決を提案します―――林地開発許可と日高市条例

当建設計画実施のためには、林地開発許可制度による許認可と「日高市太陽光発電施設の適正な設置等に関する条例」(以下「日高市条例」)の遵守の二つの条件を満たすことが課されていると考えられます。林地開発制度は乱開発防止の必要性を根拠としていますし、日高市条例は災害防止・地域環境の保全並びに市の基本計画を根拠にしています。それぞれが必要欠くべからざる根拠を持っています。ですから、これにはどちらか一方を優先的に考えるという観点は入れるべきではないはずです。一方の必要性を優先し、一方の必要性を割愛するという問題範疇を設定すると間違ってしまいます。二つの必要性は、それぞれに不可欠のものであり、並び立つことが可能であり、背反するものではないのですから。

このようなことを力説するのは、林地開発許可には法的根拠があり、市条例には法的効力がないとして、国法に根拠を持つ林地開発許可を優先し、市条例には譲歩的な位置を与えようとする思考がこの国には存在しているからです。社会的ルールにヒエラルキーを持ち込む国家主義的な思考は、地方自治の精神を重視すべきこのような問題にあっては、克服していかねばなりません。

複合的視点という含意は、以上に述べましたように、「林地開発許可」と「日高市条例」は背反的なものではなく、2条件が複合するものと考えるべきであるというものです。この問題を扱う基本的視座として提案します。

Ⅲ.台風19号豪雨を「新基準(仮)」としてシミュレーションすることを提案します。

台風19号の豪雨の時、建設予定地から国道299号線下を通って高麗川へ流れる水路(以下、K水路と呼びます)を観察しました。以下は、この観察と周囲の状況をもとにした考察です。
①K水路が国道の下に入る地点で、水路の6割、あるいはそれ以上の水位まで水が来ていました。

②建設予定地で計画が実施された場合、少なくとも現状の2倍以上の水が流れることは予想され、もしそれが現実になるとこの水路は国道下の入り口で溢れてしまうはずです。

③近隣の武蔵台団地の調整池がこのとき満水状態になり、周囲のマンホールから逆流した水が溢れる状態であったことがわかっています。

④以上を合わせて考えると、今回の台風19号規模の豪雨が来ると、この計画が実施された場合、国道299号線と周辺の民家は大きく浸水被害に会うことが必至です。

以上のことを根拠に、この件について林地開発審査が行われる場合、今回の台風19号の気象データを最低限の基準としてシミュレーションをすることを提案します。

Ⅳ.今回の要望書提出について

今回の要望書提出は、6月7日に提出した要望書に続く再度の要望書になります。内容としては、前回提出のものと同じ内容のものに、上記のⅠ、Ⅱ、Ⅲが加わったものです。この間、知事の交代がありましたので、新しい知事の名を記入して新たに一式を提出いたします。ただ、添付資料(地質図、松岡氏論文等)は入れませんでしたので、必要に応じて前回提出のものを見てくださるよう御願い致します。

Ⅴ.おわりに
①この件に関して、申請が出され、認可が下りるような場合には、ⅡとⅢの提案がどのように扱われたのか、私たちは知る必要がありますので、お知らせくださるよう御願い致します。

②署名提出と要望書の提出は知事に対して行っていますので、何らかの形で知事からの返答を近日中に御願い致します。